凜々が昨日の晩からずっと、バタバタバタバタ音を立てながら、部屋にあるものをひっくり返している。
今日の朝から俺も手伝い。あるものを探している。
「クレジットカードがない!!」
凜々はこの一言を昨日から何度も言っている。
いろんな所に電話しては、探して、電話して、探してを繰り返し確実にこの家にはないことが分かった。
「外に落としていたらめんどくさいなー」
凜々がそう言い、探すのを辞めた。
俺はクレジットカードを持っていないから、悪いイメージしか持っていないけど
・クレジットカードを落としたら
・悪い人が拾い
・電球を1万個購入されて
・カード会社から連絡が来る。
みたいなイメージしかない
「早めに利用停止して、警察に届けて、カードの再発行するしかないよ」
俺が言うと、凜々はため息をつく
「カードの利用を止めちゃうと、今やってる案件の進行が止まるからめんどくさいの」
仕事で使ってるやつ落としたのか・・・・・・
「とりあえず、銀行に行ってくる仕事はさっき連絡して振込にしてもらえそうだから、さっさとカード作り直す」
凜々に焦りと不安が見える。こんな時こそ傍にいてあげられるのが彼氏ってものなのかも
と俺は思い、凜々について行く事にした。
「絶対に邪魔しないでね!」
何故かクギを刺される。
銀行で振込を終わらせたあと、そのまま受け付けでカードの再発行の手続きをしてもらった。
「お客様、カードの再発行ですのでこちらに記入をお願いします。」
少し無愛想というか作業的な案内をするメガネの30後半ぐらいの女性が対応する。
けっ、なんか感じ悪いなー
凜々が記入を終え、店員がその場を離れると、少しザワついた。客じゃなく、店員同士で
メガネ店員が店長クラスの偉い人に確認したり、なんかいろいろ
俺は何をしてるんだろーとか思いながら見て、凜々はスマホでなにか作業をしている。
「あの、お客様、、、」
「はい、なんですか?」
「お客様のポイントがひと月で7000ポイントも溜まっているようなんですが」
「はぁ、それがどうかしましたか?」
「これってクレジットカードだけの利用額で数百万使わないとこうならないのですが」
「はい、それぐらい使ってますよ」
ここで俺の目が凜々に向く。数百万?
「あ、失礼ですが、なにかされているのですか?」
「IT関係の社長をしているので、そのカードも仕事で支払いなどに使ってます。」
「まぁー!!凄いですねー!!」
メガネ店員が手を合わせ喜んでいる。なんで喜んでるんだ?
その後4,5枚の書類を提示して
「あの、お客様ー。投資案件にご興味ありませんか?
こちらの投資ですと、税金対策にもなってとてもオススメな案件ですので、ぜひお客様にご検討いただきたいのですが」
店員の目の色が変わりキラキラして完全に凜々を金ズルだと思っている。
「カードの手続きは終わりましたか?」
「はい!数日には届くかと思いますよ!」
店員は書類をひらひらさせ上目づかいで凜々を見ている。
「この税金対策になる投資の件をご検討いただけませんか?」
「では、失礼します。」
凜々は立ち去る時髪をなびかせ涼しげな表情で言った。
「全て税理士さんに任せているので」
つかつかと音を立て、店を出る凜々を追いかけるように俺も出る。
素直にかっこいいーって思ってしまった出来事でした。
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