2人の出会いは運命的だった!!
わけじゃない
些細なきっかけで知り合い、出会い、そして付き合った。
俺はこの時、運送業でトラックを運転していた。この時もまぁまぁ貧乏で毎日朝4時から夜8時までトラックを運転して、危ない運転手や歩行者に驚き怯える毎日を過ごし、精神的にも追い込まれていた時期だった。
「ずっとこのままなのかな、嫌だなー」って毎日思ってた。
そんな時、学生の頃の友人から連絡が来た。
「ゲームのイベントあるから一緒に行こうぜ!」
正直、めんどくさかったし交通費かかるし入場料も高いし金銭面の不安から断ろうとも思った。
返事を返さずそのままにしていると、催促がきて
友人の熱い誘いに、断りきれず行くことにした。
この時、SNSで言ったんだ。
「今度○○日にやるゲームイベントに参加します」って。
ほとんど反応無かったし、投稿したことも忘れかけてた時
メッセージが飛んできた。
「私もそのイベント参加しますよ」
なんのキッカケでフォローしていたのかも分からないアカウントでほとんど話したこともなかった。
アイコンもゲームのキャラクターで男なのか女なのかも知らない
ほんと、内心はそれがどうしたって感じだったけど
このまま辛い人生歩みたくないって
なにか変えていかなきゃいけないって
ずっと頭の中で響いている言葉にのせられて返事を返した。
「なら、イベント会場で会いましょ!」
「わかりました」
すぐ返事が来た。
この時会話したのが金持ち彼女の凜々だった。
イベント当日
どこから集めたんだ?って思うほど多くの人でごった返しになっている会場を、決められた順序通り歩き回っていく。
キャラクターの風船、モンスターの模型、迫力は凄い。
だけど、『単調だな』とも思った。
数年前に行ったゲームイベントから何も進歩していないって感想だ。
ゲーム内をイメージしたむちゃくちゃ高い料理と飲み物。
コスプレをしたスタッフとそれを撮るオタク。
何故か配られる小さいうちわ
「おい見ろよ!刀売ってるぞ!すげーじゃん再現率たけー」
友達はすごく楽しんでいる。俺もそれに合わせてテンション上げるよう努力するが、たまにため息を吐く。
ある程度回った時、メッセージが来た。
「どの辺にいますか?」
会うと約束した人からだ。本気で会うつもりだったのか?と不思議になったし面倒くさくなった
でも、1度会うって俺から言ったんだから約束は守ろうと決意し。
「くそ高い飲み物飲んでますよー。椅子に座ってる。黒い半袖のジャケット着てるのが僕で青とか緑とか訳分からないチェック柄の服きている友人がそばにいます!」
そう返事したすぐ後に
「太郎さんですか?」と声をかけられ、目線を向けた。
そこにいたのが、ブロンドの髪、二重の綺麗な目、スタイルがよく、一瞬外国人のモデルがいるのかと思ったぐらい混乱した。
ジーパンを履いて、白の服を着た女性が俺の事を見ている。
「え、マジ綺麗やん」アホそうな回答をする友人。
「え、あ、はい、そうです」バカそうな答えを返す俺。
「いつも投稿見てますよ!もうだいたい見て回ったんですか?」
「え、はい、見ましたよ」
「どうでした?このイベント」
「あぁ、すごく良かったなーって思いました。なんか迫力あるし美味しいし、コスプレした人とかもユニークで」
思っていたことと違うことを言う俺
「あぁ、そうですか」何故か残念そうにする女性。僕ら2人の席に座り、こう言った。
「このイベントって単調じゃないですか?」
と、言いますと?
「数年前のイベントとほとんど変わり映えしないんですよね〜。
もっとゲームのイベントならソースコード公開!!とか大胆なことしてほしいなーっていっつも思うんです。
それにこのうちわ。
かさばるし邪魔なんですよね。扇子ならまだ場所取らないんですけど、コストパフォーマンス的にダメみたいですね。」
おぉ、結構バシバシと欠点を上げていく。うちわの件は同意見だ。
「それじゃどんな風にすれば、今までと違うようになると思う?」
興味本位で聞いてみた。
「今だったらフォログラムでモンスターや世界観を表現しますね。
それが無理でもドローンを使って、少し装飾して小型鳥類のモンスターを作って10個は飛ばします。もちろん飛行ルートをインプットさせて、的確に、さらに自然にします。
それが出来なくても、あのモンスターの模型」
女性が指さす先に、一番最初に目に飛び込むほどの大きい模型がある。
「あの模型動かないじゃないですか?
頭から首までは動くようにプログラミングします。
今ってYouTubeやTikTok、Twitterやインスタグラムなどの動画の拡散率ってすごく高いんですね。
見やすいし楽しいし、それを使って拡散して宣伝するからうちわとかの費用かからなくできる。写真だけだとやっぱり限界があるんですよ。」
「おい、彼女すげーな」友達が肘で俺をつつきながら話す。
「あぁ、やべーな、なんか完璧だな」
友達が小声で、行け!!行け!!とアクションするので俺も勇気をだして動いた。
「この後、なにか予定とかありますか?」
「いえ、特にありませんよ。どこか行きますか?」
おぉ!!デートの誘い上手くいった!
「なら、食事でも!!レストランでもどこでも行きましょう!!」
「あ、それなら居酒屋さんに行きたいです。庶民的ななんて言うのかなー古くからあるような?チェーン店でもいいんですけど、そうゆう所ってなかなか女性だけだといけなくて」
「了解しました!!!」
ガッツポーズをする俺はハイタッチを求める友達も華麗にスルーして携帯を取りだし店を探した。
そこから2人でチェーン店の居酒屋に行って話をした。
よく笑う子だなって印象があった。
お酒はほとんど飲んでなかったけど、店内の客層や雰囲気をよく観察していた。
店を出る時奢られるのは嫌いで、絶対に割り勘じゃないとダメだと言い切り、俺は頭をかき、了承した。
その場で別れ、LINEでお礼が来てその返事をして俺はテンションが上がった。
また、食事に行く約束が出来たからだ。
その後、何回かデートして
冬の日に告白して付き合うことになった。
俺は凜々が金持ちだってこと知らなかったし
凜々は俺がここまで貧乏だってこと知らなかった。
俺は凜々が綺麗なだけじゃなくて笑顔が素敵で楽しい会話ができる人だと知っていた。
凜々は俺が悪態つくだけじゃなくて、楽しい話をたくさん話してくれることを知っていた。
そんな些細な偶然ときっかけで
俺たち2人は付き合うことになりました。
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